あなたが連帯保証人となっていたとしても、主債務者が支払わなくなって5年以上経過しているような場合は、消滅時効を援用して債務を消滅させることができる可能性があります。ただし時効完成後に支払ってしまうと、基本的に取り返せなくなります。

  平成15年頃、友人Xが貸金業者Yから個人借入れをするに際し、連帯保証をしました。ところが、Xは借金を残し、翌年初めには夜逃げして所在不明となりました。最近になって、Yから私宛にXの残した借金全額について支払うよう督促状が来ました。どうしたらよいですか?

  Xの債務を主債務、あなたの債務を保証債務といいます。

  業者Yが会社組織であれば、あなたの保証債務は、5年間の商事消滅時効が完成していると考えられます。

  従って、あなたはYに対し、保証債務の消滅時効を援用することにより支払を免れることが出来ます。

  ただし、もしあなたがYの督促に応じて一部でも支払いをしてしまうと、その後は基本的に消滅時効を援用出来ないことになってしまいますので、慎重に対応することが必要です。

  実は、Xが所在不明になった後、Yから金利だけでも支払うようにと強く言われ、平成18年までは月々1万円を支払っていたのですが。

  あなたの支払により、保証債務については承認されたことになりますので、支払った日に消滅時効の進行がとまります(時効の中断)。

  そして、最後の支払(平成18年)から現在(平成22年)まで5年間経過しておらず、保証債務に関する消滅時効は完成していないことになります。

  しかしながら他方で、主債務は、Xが夜逃げした平成16年から5年以上経過しています。この場合、この5年の間にYにおいて、裁判を起こすなどして法的に時効中断の措置を執っていない限り、主債務の消滅時効が完成していることになります。
そして、主債務が時効の援用により消滅すれば、保証債務もそれに付従して消滅します。

  ですから、あなたはこれから主債務について消滅時効を援用することができ、その結果、保証債務の支払を免れることが出来ます。主債務者Xに連絡が取れない場合や、Xの意思に反する場合でも、連帯保証人として時効の援用が可能です。

  なお、時効の問題はその対応如何によって利益にも不利益にもなり得ますので、弁護士に相談することをおすすめします。