手形をなくした場合には、裁判所から除権決定を得て、手形と権利の結合を解く必要があります。

  手形をなくした場合には、どのような対応をする必要がありますか?

  手形は有価証券のひとつで、額面の金額を請求する権利と手形とが結合しており、手形を所持していなければその権利を行使できません。したがって、手形がなければあなたは手形金の支払いを請求できません。一方、例えば誰かがその手形を拾ってこれを流通させたような場合には、事情を知らないでその手形を取得した者が手形上の権利を取得し、あなたは手形上の権利を失うこともあります。そこであなたは、銀行に届け出たり、警察に紛失届を出す等の対応をすると共に、振出人に対して手形上の権利を行使するために、裁判所に申立をして、公示催告をなして除権決定を受け、手形と権利の結合をといてもらい、いわばその手形を紙切れにして、手形の所持なくして権利の行使ができるようにする必要があります。

  除権決定を得るまでの手続はどのようなものですか?

  公示催告の申立は、手形に記載された支払いを管轄する簡易裁判所に対して行います。この際、あなたは、手形の写しを差し出すか、手形の主な内容を表示することを要し、さらに、手形をなくした事実及び自分が手形の最終所持人であったことを疎明(裁判官が申立事実を一応信じるに足りる程度の証明のことです。)する必要があります。

  公示催告の申立を受けた裁判所は、一定期間(2ヶ月以上の期間が必要です。)を定めて、当該手形を所持している者がいれば裁判所に届け出るようにという公示をします(官報に載せたり、裁判所の掲示板に掲示したりします。)。 

  その期間内に届出をしてきた者がいれば、その者とあなたとの間で、どちらが権利者であるかについて裁判をすることになります。なぜならば、先に述べましたように、その手形の所持人も、例え本来は権利のない者から手形を譲り受けたとしても、一定の場合には権利を取得できる場合があるからです。

  一定期間内に届出をする者がいなければ、裁判所は除権決定を出すことになります。除権決定が出れば、それ以降は手形はいわば紙切れになるので、あなたは、手形がなくとも振出人に手形金の支払を請求することができるようになります。