患者がなかなか治療費を支払ってくれず,未払額が既に100万円以上にのぼります。病院から電話で何度も支払ってくれるようお願いしているのですが,何の効果もありません。今後,どのように対応したらよいでしょうか。

  診療報酬債権の時効期間は,民法166条1項により原則として5年とされていますので,時効にかからないように注意する必要があります。電話では何度も督促をしているということですが,職員の方が自宅を訪問して,粘り強く説得するというのも一つの手です。ただ,かなり手間暇がかかりますし,治療費を支払わないという意思が明確な場合には,いくら説得しても無駄かもしれません。

  次に考えられるのは,内容証明郵便の送付です。内容証明郵便によって,支払いに応じなければ法的手続きをとるという意思を示せば,相手に対しては,相当な心理的なプレッシャーを与えることができますし,病院の代理人として弁護士が内容証明郵便を送付すれば,その効果はより一層大きなものとなります。これらの手段によっても,相手が支払いに応じなければ,法的手続きをとるしかありません。

  具体的には,支払督促,少額訴訟,通常訴訟等の手続きが考えられますが,それぞれに一長一短があり,いずれの手続きをとるべきかは,事案ごとに判断する必要がありますので,ぜひ弁護士にご相談頂きたいと思います。

2020年7月更新(上記記事は2020年4月に施行された改正民法の内容に基づいて記載しています)