刑事事件において処分が決まるまでの手続の概略を説明いたします。

  刑事事件を犯した人の処分が決まるまでの手続はどうなっていますか?

  犯罪を犯すと最終的には刑事裁判でその人(裁判所に起訴するまでは被疑者と呼び、公訴が提起されてからは被告人と呼びます。)の処分が決められますが、それまでには警察や検察官の捜査→裁判所へ起訴→公判→判決という段階を経ます。

  検察官とはどのようなことをする機関ですか?

  検察というのは警察と同様事件の捜査をしたりするほか 、その被疑者について起訴するかどうかを決め、公訴や刑の執行を行うなど、刑事手続全般について重要な役割を果たす機関です。捜査の結果 、検察官が起訴すべきではないと判断した場合には、起訴されずに終わることがあります(不起訴処分或いは起訴猶予といいます)。

  どのような場合に逮捕されるのですか?

  被疑者につきどのような処分をするかは最終的には裁判で決まりますが、捜査をしている間に被疑者を自由にしておくと処罰をおそれて逃亡したり、証拠を隠したりするおそれがある場合もあります。そこで一定の法律の要件が認められる場合には、逮捕、勾留という手続でその人の身柄を拘束することができることとされています。

  逮捕という手続では72時間しか身柄を拘束できないので、逮捕に続き勾留という手続きが取られることも多いです。勾留という手続では10日間(延長される場合もあります。)身柄を拘束できます。捜査機関はこの期間に捜査をして起訴をします。この逮捕、勾留されている間に無料で被疑者に会いに行きアドバイスをするのが当番弁護士制度です。毎日担当の弁護士が決まっていて、逮捕、勾留されている人やその家族等が希望すれば、担当弁護士が会いに行き、必要なアドバイスをしてくれます。 また、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件については、弁護士を個人で依頼する経済的余裕がない場合には、被疑者は、裁判官に対して国選弁護人の選任を求めることもできます。

  刑事裁判はどのように行われますか?

  起訴されると刑事裁判が行われますが、殆どの刑事裁判では弁護士がつかないと法律上裁判を行えません。それで弁護士を個人で依頼する経済的余裕がない被告人については、国(裁判所)が弁護士を付けます。これを国選弁護人といいます。

  また、被告人について、起訴された後も、逃亡のおそれや証拠を隠滅したりする可能性があるような場合、裁判所の判断で、裁判が終わるまでの間、被告人の身柄を拘束することがあります。

  裁判員制度とはどのような制度ですか?

  裁判員制度は、市民から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度です。衆議院議員の選挙人名簿から毎年くじにより選定されて作成される裁判員候補予定者名簿から、裁判員候補者がくじにより選定され、欠格事由や辞退事由等を確認の上でで裁判所が選任しない者を決定し、さらに検察官及び被告人からの不選任請求の手続等を経たのちに裁判員が選任されます。
  裁判員制度が適用される事件は、地方裁判所で行われる第一審事件のうち、
①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件及び
②死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪(一部除外あり)で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件です(ただし、特別に対象事件から除外する旨の決定を裁判所がする場合があります)。

  例えば、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷害、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、強姦致死罪、危険運転致死罪、保護責任者遺棄致死罪などが、裁判員裁判対象事件です。

  裁判は、原則として裁判員6名、裁判官3名の合議体で行われます。裁判員は、審理に参加し、有罪か無罪かの判断と、有罪の場合の量刑の判断を行い、合議体の過半数が賛成し、かつ、裁判員と裁判官のそれぞれ1名以上が賛成した場合に、評決が成立することになっています。