債権回収に関する法律相談

  債権の回収には、①信用調査、②契約書の作成、③担保設定等の対策が重要です。これらの備えが不十分で不良債権が生じそうな場合には、少しでも早く回収に向けた対策を講じる必要があります。

  「取引先からの入金がない」、「工事代金が支払われない」、「賃借人が家賃を支払わない」等債権の回収に関する相談や依頼も非常に多いです。特に、最近は不況の影響から、「長い取引でこれまで一度も遅れることなく支払ってもらっていたのに、代金の支払いが3ヶ月も遅れている」等という相談もしばしば耳にします。

  債権回収のためにどのような対策をするかは、債権の種類や相手方が支払わない理由等によって変わってきます。例えば、相手方が商品や工事の不具合等を主張して代金の支払いを拒んでいるような場合には、事実調査をして、相手方の主張の当否について検討します。

  もしも、相手方の主張に理由がないと判断されるのに、相手方が全く理解を示さない場合には、内容証明郵便で請求をして、それでも支払いに応じてもらえない場合には、裁判を起こす等の対応を検討することになると思います。

  一方で、相手方の経営状態の悪化を理由とする不払いに対しては、まずはそのような不払いのリスクをいかに低くするかという、予防的な観点からの対策が重要になってきます。

企業の売掛金を確実に回収するには...

① 取引開始時に取引先の信用調査をきちんと行う

※ 少なくとも商業登記簿や本店や工場の不動産登記簿謄本等のチェックを

② 取引先に信用不安が生じた場合に速やかに債権回収に向けた行動が取れるよう配慮した契約書を締結しておく

※ 代金が支払われるまでは商品の所有権は当方に留保されるという条項や、信用不安が生じた場合には、少なくとも出荷を停止できるような条項やいち早く債権回収に向けた行動や相殺ができるように期限の利益を喪失させられる条項等は設けておくべき

③ 契約時や取引が増える時点をとらえて担保を設定しておく等の対応が必要

※ 不動産の他売掛金等様々な資産に担保を設定することができます。そして、信用調査や契約条項の確認等は定期的に行い、必要に応じて契約条項の追加等も検討する必要があります

①~③の対策をきちんと行っておけば、不良債権を抱えてしまうリスクはかなり低くなります。

  とは言っても、とりわけ中小企業にとって、信用調査や担保設定を十分に行うことは現実的には難しいものです。私たち弁護士は、多くの選択肢の中から最も効果的な債権回収を判断し、実行に移します。

  例えば、売掛金の支払いが遅れているが、何も担保を設定していないという場合は、他の債権者に先駆けて速やかに回収に向けた行動を取る必要があります。

具体的な回収方法としては....

・内容証明による請求
・売買契約であれば先取特権に基づく差押え、仮差押え
・裁判の提起

※ 早い段階であれば、新規の売掛金等を担保として差入れてもらったり、いざというときにすぐに差押えができるよう、売掛金を払うという約束を公正証書や裁判所の和解調書にする(即決和解)等の方法も選択肢として考えられます

などが考えられ、どのような方法が最も効果的かを、相手方の経営状態や契約書の内容等によって判断し、複数の方法を同時並行で準備することも多いです。

※ マンションの管理滞納や、賃料の未払へは早急の対応を

これらの債権については、事前の信用調査によるリスク回避が難しいという点や、時間がたてばたつほど未払いの額がどんどん増えていくという問題があり、少しでも早く回収に向けた対策を講じる必要があります。

  弁護士は、様々な事件を通じて、債権の焦げ付きを防ぐためにはどのような工夫をしたらよいか、債権を回収するためにはどのような方法が効果的かの法的知識やノウハウを蓄積しています。どうぞ、お問い合わせください。