弁護士中山の「私の一冊」

メンタルなことで仕事が行き詰っていませんか (2017.9.11)

北川恵海 「ちょっと今から仕事やめてくる」 メディアワークス文庫

世にブラック企業のことが取りざたされています。残業があるにかかわらず,当然のように残業代が出ない。労働時間がシフト制になっているため有給休暇は有名無実となっており全く取れない。上司が怒ってばかりで,パワハラが横行している・・・などなどですが,これらは法的手続さえ踏めば改善されることは間違いないのですが,そのことによって会社内の立場がなくなったり,最悪,職を失ってしまうことにもなりかねないため,ただひたすら我慢して働き続けているということが多いという分析があります。これが中小企業だとなおさらのようです。
今回ご紹介する作品は,そのような職場が舞台となっています。

作者の北川さんは,本作品で第21回電撃小説大賞のメディアワークス文庫賞を受賞して小説家デビューとなっています。本作品は60万部のベストセラーとなっておりご存知の方もおられるかと思いますが,今年の5月に映画公開されました。福士そう汰さんとソフトバンクホースの工藤監督の息子さんの工藤阿須加さんとのダブル主演でした。

さていつものとおり北川さんのプロフィールをご紹介したいのですが,
1981年生まれで現在36歳の女性であること,
大阪府吹田市出身であること
のほかは公開されていません。顔写真は公開されていますので興味のある方はネットで検索してみてください。はい,お奇麗な方です。

さてストーリー紹介です。
主人公の隆は就職戦線に敗れ,不覚にも三流の印刷会社に就職することになります。何とそこは残業代なしの過重労働,上司からのパワハラ何でもありのブラック企業だったのです。ただひたすら働き疲弊し続ける隆は,現実から逃れるためか駅のホームで無意識に線路へ飛び込もうとします。寸前のところで,「ヤマモト」と名乗る男に助けられます。
ヤマモトは小学校の時の同級生だというのですが,隆は思い出せません。隆は,そんなヤマモトにいつの間にか心を開くようになり何かにつけて支えられていくのですが,ひょんなことから隆の同級生のヤマモトは今はニューヨークに勤務していることを知ります。 ヤマモトはニセモノだったのです。隆はネット検索によりヤマモトと称する男のことを知らべ上げます。その結果,たどり着いたのは3年前に自分と同じような立場にあって鬱になり,ビルから飛び降り自殺した男の記事だったのです。記事には写真もあり,ヤマモトその人に間違いなさそうです。
だとするとヤマモトは幽霊??? 幽霊が同類の犠牲者を出さないために隆を助けたのでしょうか。ヤマモトとはいったい誰なのか,謎はいよいよ深まります。

一方,隆は仕事上のトラブルからヤマモトどころではなくなり、彼との連絡を絶つようになります。会社内で孤立・疲弊しついには自殺を本気で考え,これを実行に移すべくビルの屋上の縁に立つ隆。そこにどうしてわかったのか、ヤマモトが駆け付けます。隆は寸前のところでまた助けられます。
ヤマモトとの腹を割った話の中で,隆の自己改革が始まります。といった感じでストーリーは進んでいきますがいかがでしょうか。

サザエさん症候群に悩む隆は、1週間の歌」と題する詩を作っています。
月曜日の朝は死にたくなる。
火曜日の朝は何も考えたくない。
水曜日の朝は一番しんどい。
木曜日の朝は少し楽になる。
金曜日の朝は少し嬉しい。
土曜日の朝は一番幸せ。
日曜日の朝は少し幸せ。でも明日を思うと一転,憂鬱。
以下繰り返し。

隆の仕事が如何に辛いかってこと実感させてくれますよね。

本作品は働く人ならみんな共感できて,ラストはスカッとして涙するかもです。
職場の過重労働やパワハラなどにより仕事が辛くて精神的に追い詰められたことのある方,現に追い詰められている方に是非お勧めです。どうか悩みを一人で抱え込まないでください。まずは仕事を休んで相談してみましょう。
もちろん,私も本業は弁護士ですので有料ですが、ご相談には応じさせていただきます。

本日ご紹介したのは,北川恵海さんの「ちょっと今から仕事やめてくる」メディアワークス文庫から,2015年2月25日発刊258頁,572円でした(了)。

過去のコラム

(90)  メンタルなことで仕事が行き詰っていませんか
「北川恵海 ちょっと今から仕事やめてくる メディアワークス文庫」 (2017.9.11)

(89)  池井戸ファンにおススメの一冊です。
「池井戸潤 アキラとあきら 徳間文庫」 (2017.8.22)

(88)  生まれ変わりを信じますか。
「佐藤正午さんの 月の満ち欠け 岩波書店」 (2017.7.12)

(87)  アル・カポネ,ジョン・デリンジャーといえば?
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(86)  もしも過去の事実を改変できるとしたら
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(85)  もしも人間の知能を人工的に高めることができるとしたら
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(84)  NHKさん、シュンスケを大河ドラマの主役にしてください
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(83)  純な気持ちでお読みください。
「住野よる 君の膵臓を食べたい 双葉社」 (2017.1.20)

(番外編)  司法修習生はどんな本を読んでいるのか
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(82)  ピカソのキュビズムって何?
「原田マハ 暗幕のゲルニカ 新潮社」 (2016.11.21)

(81)  家康は僻地江戸をどのように建設したのでしょうか
「門井慶喜(かどい よしのぶ) 家康、江戸を建てる 祥伝社」 (2016.10.13)

(80)  ランニングシューズ業界を覗いてみましょう
「池井戸潤 陸王 集英社」 (2016.9.9)

(79)  ピアノの調律師って?
「宮下奈都 羊と鋼の森 文藝春秋」 (2016.6.17)

(78)  人はなぜ山に登るのか
「夢枕獏 神々の山嶺(いただき) 上下巻、集英社文庫」 (2016.5.31)

(77)  ガラ携って何?
「相場英雄 ガラパゴス上・下巻 小学館」 (2016.4.11)

(76)  尖閣問題について考えてみましょう。
「青木俊 尖閣ゲーム 幻冬舎」 (2016.3.25)

(75)  宗教にはまったことはありますか。
「中村文則 教団X 集英社」 (2016.3.11)

(74)  中国にもつい100年前まで皇帝がいました。
「浅田次郎 蒼穹の昴 講談社」 (2016.1.26)

(73)  「仁義なき戦い」の菅原文太はかっこよかった。
「柚月裕子 孤狼の血 角川書店」 (2015.12.3)

(72)  どうして山に登るのか
「下村敦史 生還者 講談社」 (2015.12.3)

(71)  お互い愛情もない夫婦、そんな中、相手を突然亡くしたら・・・
「西川美和 永い言い訳 文芸春秋」 (2015.11.9)

(70)  復讐とは虚しいものですね
「ピエール・ルメートル その女アレックス 文春文庫」 (2015.10.29)

(69)  人魚姫ならぬ金魚姫はいかがですか
「萩原浩(おぎわら ひろし) 金魚姫 角川書店」 (2015.10.15)

(68)  突然、あなたの秘密が本で暴かれたら?
「ルネ・ナイト 夏の沈黙 東京創元社」 (2015.8.17)

(67)  ダビィンチには謎がいっぱい
「真保裕一 レオナルドの扉 角川書店」 (2015.8.10)

(66)  戦後の台湾をもっと知ってみたい
「東山彰良 流(りゅう) 講談社」 (2015.8.4)

(65)  産業スパイって本当にいるんですよね。
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(64)  ライオンさん、一度でも帰国していれば・・・
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(63)  それでも3億円が当たってみたい。
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(62)  神の子は知能が優れているのでしょうか。
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(55) 時をかける手紙
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(54) 人類の世紀末を想像できますか
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(52) 海外で亡くなった人はどのようにして帰国するのでしょうか
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(51) 倍返しと土下座で著名な半沢直樹の続編です。
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