弁護士中山の「私の一冊」

スコットランドゴルフ紀行(4) (2010.11.29)

番外編

 

  7月6日(月)セント・アンドリュース4日目の朝,昨夜は,暑いは騒がしいはで良質の睡眠は取れなかったものの,いつものように5時頃には起床。ふと窓の外から雨の匂いがします。生憎の小雨模様です。散歩は控えることにしました。いずれB&Bをチェックアウトするため,荷物のパッキングをしなければなりません。

R&Aの前にて

  ちゃんとバスタブにお湯を入れて,朝から風呂で体をすっきり流して,いつもの美味しいスコットランドの家庭の味を楽しみます。9時にはチェックアウトして,レンタカーの後部座席が座り難くなるくらいまでに荷物をぎゅうぎゅうに詰めて出発です。どういうわけか荷物が膨れているのが不思議です。車で移動して,R&A界隈でお土産のお買い物です。当然,セント・アンドリュースのロゴ入りのゴルフ関連商品です。各自,キャップ,ベルト,雨傘,コースガイド,ボール,グリーンフォーク,ボールマーカーなどをたくさん買い込みました。ここで,オールドコースの1番ティーをスタートしていくプレイヤーを観ていました。すると1人の日本人とおぼしき中年がやって来て,いきなり私たちに話しかけてきました。日本からたった1人でスコットランド入りして,ガイドブック片手にレンタカーでゴルフ旅行をしているとのこと。道に迷った苦労話を散々されていました。日本語での会話が出来てほっとされた様子でした。ご同輩はいるものですね。

 

  続いて,R&Aの向かいにあるゴルフファン必見という英国ゴルフ博物館に入場料5£(約750円)を支払って見物です。ここには,ゴルフの歴史のすべてが展示されています。ゴルフ場の有り様そのものの変遷,前に触れたゴルフ禁止令のこと,そのコピーも展示してあります。もちろんクラブやボールの進化もわかります。当たり前ですが,クラブシャフトは,今はよくしなるカーボン製ですが,昔は木製です。ドライバーヘッドも今のようなチタンではなく,パーシモンという木の根っこです。アイアンはその名の通りヘッドだけ金属製です。ボールは羽毛を丸めた小さなフェザーボールにはじまり,ゴムを融かして鋳型で型どりしたもの,ディンプルの入ったもの,と進化していきます。今と違って,ボールは超高級品でプレー中にロストするなどあってはならないことでした。これら諸々の現物や写真が説明文(もちろん英文)とともに展示されており,本当に(英文なのに?)よくわかる歴史でした。

ホテル室内からの眺望

  さて,セント・アンドリュースに別れを告げてカーヌスティへ移動です。まずは宿泊予定のホテルへ寄って,予約確認のうえ,荷物を置いて今日のプレイ予定のゴルフ場へ行くことになりました。ところが,よっちゃんのナビで小一時間で着けるはずが,現地の住所表示と地図で進んだ場所が一致しません。どこか間違ったところで左折してしまったのか,あるいは右折してしまったのか,つまり認めたくはありませんが迷ってしまったようです。人に聞くことも出来ず,地図をたよりに何度か同じポイントを行きつ戻りつして,なんとか自力で「Carnoustie Hotel Golf Resort&Spa」にたどり着くことができました。近くには鉄道が通っており,海沿いのとてもよさそうなホテルです。ホテルロビーのテラスから外へ出れば,そこは,荒波はじける海に面して,全英オープン開催で名高い,憧れのカーヌスティ・ゴルフリンクス・チャンピオンシップコースです。このコースでのプレイは明日のお楽しみで,今日はここから東に約2マイルという至近距離のPanmureゴルフクラブに挑戦です。

 

  恥ずかしながら当時は知らず,これを書いているときに確認してわかったのですが,実はPanmureゴルフクラブも半端じゃない歴史がありました。何と創立は1845年です。当初9コースでスタートして,1880年までに18ホールに拡張され,以降長年にわたり改修を経て現在に至っているとのことです。かのベン・ホーガンが1953年,カーヌスティでの全英オープンに出場・優勝した際の準備期間に利用したコースとして有名だそうです(まだ生まれてもいないのでわかるはずもないか・・・)。ちなみに近くは通過しましたが,道路案内標識によれば,ベン・ホーガンの住んでいた家が近くにあるようでした。念のため,ホテルでゴルフ場までの道順を訪ねて,車で目指しました。幹線道路からはずれて田畑の中の細い道を行けば,荒涼とした荒野にいきなりPanmureゴルフクラブはありました。とても古そうで,実際も歴史あるクラブハウスに迎えられます。予約とスタート確認をして,高級そうなロッカー室を覗いた後はお馴染み,車の前での着替え,プレイの準備です。またまた練習場で軽く打ち込んで,今日も4人のキャディー(セント・アンドリュースとは違う人です)同行です。午後2時半スタートのスループレイで,まだまだ明るい7時前には楽々上がりました。林はたくさんありますが,コースはフラットで,グリーン上にさえ瘤があったり自然の地形がそのまま活かされており,今日も深いラフとバンカーに悩まされたのは言うまでもありません。とても試練のラウンドでした。あえて詳細は語りませんが,私はパーが4つしかなくてOBを6発も打っていました。スコアはアウト48イン56の104でしたが,情けないことに4人中私がベストグロスでした。それでも終了後,沈み込む者は誰1人おらず,明るく堪能して一行はホテルへの帰路へと就いたのでした。

  ホテルにチェックイン,2部屋とも同じタイプのツインルームです。部屋の雰囲気は日本のリゾート地にあるそれと何ら変わりありません。部屋割りは昨日までと同じで,またよっちゃんと一緒です。部屋の大きな窓からは絶景が臨めます。見渡す限り広大なゴルフコースが拡がっています。そして左側にはゴルフコースの先に海,その遙か彼方に水平線が見渡せるのです。1階にレストラン,バー,マッサージ,プロショップ等があり,外に出ればすぐそばにゴルフのスタート室と1番ティーグランドがあります。4人は速攻時間差でシャワーで汗を流して,早いもんから1階バーでビールを引っかけながら,4人揃ったところでレストランで食事することになりました。この夜何を食べたのか思い出そうとするのですが,なぜか曖昧です。たぶん,ビール,ワインと普通にフレンチかイタリアンかのコース料理を食べたのだと思います。味は可も不可もなく普通だったのでしょう。

カーヌスティホテルレストラン夕食

  日本を出て既に4日,持参した携帯電話は海外でも使えますので,仕事一筋の私は,自分の職場事務所とは毎日のように事務連絡を取り合っていました。でも,夜少し眠れないときに,ふと窓の外の遠く見慣れない風景を眺めていると,愛する家族と離れていることがじんわりと滲み,何となくホームシックになってきます。気晴らしに,よっちゃんにならい洗濯しました。椛ちゃんと違って,もともと足らなくなったらこっちで買えばいいと思って,着替えは多くは持ってきていません。倹約もかねてポロシャツ,下着とソックスを全部手洗いしました。椛ちゃんも,この歳になって洗濯の喜びを知ったとか言って,毎日のように部屋中洗濯物干し場状態だったそうです。おかげて,椛ちゃんが出国の時に持参した要らんお荷物の新品猿股は,半分以上未使用のままで,「これ,ロンドンで売るっちゃん」と嬉しそうにしていました。はい,もちろん猿股は未使用のまま椛ちゃんの産地久留米に自らお持ち帰りです。

  また,そう言えば,レストランやホテルのドレスコードの関係で,みんなジャケットを着用してきていたのですが,さすがに海外慣れしたよっちゃん(?)は古いのを着て来ており,帰りの成田空港のゴミ箱にポイしていました。海外旅行,慣れれば荷物の工夫というのも知っていると便利ですね。

  さて一夜明ければ,今回の旅行一番のハイライト,憧れのカーヌスティでのプレイです(つづく)。 

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(54) 人類の世紀末を想像できますか
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(51) 倍返しと土下座で著名な半沢直樹の続編です。
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